タケ類の分布調査
 
1.調査の意義と目的
 かつて竹は我々日本人にとって、大変有用な素材であり食材であった。現在竹製品がプラスチックや金属製品に置き換わり、素材としての竹の利用は格段に減少した。その結果これまで適切に維持管理されてきた竹林が放棄され、野放しに広がる現象がいたるところで見られるようになった。
 特にモウソウチクは2011年3月愛知県指定の移入種に指定された。

 竹は生産量が大きくて早く、ニッチを競合する他の植物にとっては大変な脅威である。さらに竹は湿潤な河畔林から社寺林、かなり乾いた里山に至るまで多様な環境に適応していく力がある。里山では雑木林やスギ・ヒノキの植林地を浸食し覆い隠して、生態系を著しく破壊してしまう現象がしばしば起きている。竹の純林は生物多様性の観点からも大変貧弱な環境といえる。

 極端なケースでは愛知県指定の自然保護区域である「越戸大山の原生林」がモウソウチクに覆い尽くされて、林相をほぼ完全に破壊されてしまっている。すでに往時の面影はなく優れた自然として指定すべき要件も失いつつある。また岡崎市の茅原沢川の河畔林は、トチュウシャラノキを多産する希少な自然環境として県の指定を受けているが、ここもモウソウチクの侵入によって林相を破壊され始めている。県によって対策がとられ始めているがまだまだ不十分である。

 また放棄されて幹の細くなった竹の節に、県指定の移入種であるタイワンタケクマバチが入って越冬するなど、昆虫界への影響も現れている。

 現在県内に竹林がどの程度、どのような状態で広がっているのかをモニタリングすることは、県の自然環境を保全していくうえで火急の問題である。

 すでに矢作川の一部など、ボランティアグループによって河畔林における竹の除去が試みられている先進的な地域もある。けれども多くの地域では今後竹林をどのように管理していくのか、短期・長期の展望を持つ必要がある。その基礎資料として,愛知県自然観察指導員連絡協議会で竹林の分布と現状を把握する調査を実施したい。


2.調査の方法と期間
 (1) 対象とする種
   今回取り上げたいのは、特に生態系に大きな影響を与えると考えられる竹林を形成するマダケ属Phyllostachysのうち マダケP. bambusoides Sieb. et Zucc. モウソウチクP. heterocycla (Carrière) Matsum.ハチク(クロチクを含む)P. nigra (Lodd. ex Loud.) Munroの3種である。3種の竹の見分け方はポイントさえ分かれば難しくはない。以下に検索表を2種類示す。(ホテイチクなど種が容易に判断できるものも記録するとよい)
   
幹による検索表
1.鞘(竹の皮)の跡は残らず、節にある環は1重・・・モウソウチク
1.鞘(竹の皮)の跡が残り、節にある環は2重
 2.枝の第1節は中実・・・・・ハチク
 2.枝の第1節は中空・・・・・マダケ
   
鞘(竹の皮)による検索表
1.竹の皮に黒い模様はない・・・・・ハチク
1.竹の皮に黒い模様が入る
 2.黒い模様は鞘の下部に縞状に入る。インクが飛び散ったような模様はない ・・モウソウチク
 2.黒い模様は鞘の下部だけでなく、インクが飛び散ったように点々とつく ・・・・・・マダケ 
   
 ※写真はこちらから(pdf 89.3 KB) 
   
(2) 調査項目
    以下の3項目について調査票に記録する。 
    ①竹の種類 
    ②竹林の位置  行政区画による地名を字まで記録 緯度・経度を秒まで記録
     ※緯度・経度は秒まで記入をお願いします。面積が広い場合は、そのどこか1点でOKです。
 国土地理院のHPの中の「ウォッ地図」で示される、2万5千分の一地図上で該当する地点にカーソルをあててダブルクリックすると緯度経度が表示されます。
    ③竹林の状態
 A 適切に管理されている(筍や竹材を利用したり、観賞用に管理されている。)
 B 一応手が入れられている。周囲への進出や枯死した幹の放置がない。
 C 放置されている。 
 
(3) 調査報告
 調査票をメールに添付し、愛知県自然観察指導員連絡協議会 調査担当理事 瀧崎 吉伸 takizaki@tree.odn.ne.jp まで送付する。
 ※調査票のダウンロードはこちらから(excel 21.5 KB)
   
(4) 調査期間 平成23年から3年程度を目標とする。 
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